【株】2023年3月 ~全取引履歴の分析[後編]~

現在の僕は、株を始めてからトータルで大損中の弱小トレーダーです。

これからどうなるかは誰にも分かりません。決して信用しないで下さい。

 

前編はこちら

前回の記事では、今までの全取引をチャート上にプロットする作業について書いた。

今回は、その取引が記録されたチャートを眺め考え続けた結果、どんな事に気付いたのかといった内容になる。

取引を記録するだけでもかなり気が遠くなる作業であったが、単純作業なので常に終わりは見えていた。

答えが分からない分、チャートを見ている時間の方が何倍も長かった。

思考の過程は人によって違いがあると思うが、最終的には同じような結論に行き着くと思う。

時間をかけたのに、こんなに単純な結論なのかと感じたり、そんな事はとうの昔に知っていると思う方も多いと思う。

これから書く内容は、自分も既に知識としては以前から常識のように頭に入っていたものばかりだった。

しかし、当然のように思える事でも、その全てを一度たりとも破らないというのはとても難しい事だし、その一度を数回繰り返すだけでパフォーマンスに大きな影響を及ぼす。全ての条件を破らずに行えるトレード機会は思っているよりも少ないので、早く稼ごうという焦りから無理に仕掛けて不要な負けを積み重ねてしまう。

結局は、基本が大切だった。

そして、ただ情報が知識として頭に入っている状態と、知恵や実感として昇華した状態とでは、とても大きな違いがあると思っている。

やはり一番は自分自身の考えで自分自身の取引を分析し、その分析結果を信じる事ができたというのが大切なのだと感じている。

紛れもない自分自身の取引と正直に向き合って得た結論だからこそ、それを二度とブレない軸として心から信じて取引できるようになった。

これまでの全てのクソトレードに感謝!

 

 

0.プラマイ0でも万々歳!

 トレードに限った事ではないが、プラマイ0というのは幸せな事である。自分がそうだったが、殆どの場合は破滅しかけたり、実際に破滅してからこの事に気が付く。”愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ”と言うが、相場や人生では誰しも最後は自分の経験から学ばなければうまくいく事は無いと思う。今も昔も、偉大な投資家・トレーダー達の殆どが過去に大きなドローダウン・破産を経験しており、そこから訳の分からない意志力で這い上がっている。一度の大きなマイナスでなくとも、小さなマイナスの出来事がズルズルと続くのに慣れてしまうと、現状維持バイアスによって、プラマイ0よりもマイナスがあった方が無意識に心が楽になってしまう。だが、破滅的になってはいけない。今更何をしたって無駄だと思ってしまう時も沢山あるが、その破滅的な一歩を意地でも踏ん張り、少しずつプラスの方向へと変えていく。もうプラマイ0に戻れないと感じる程のマイナスを経験したと思ってからが本番で、それをこれから取り戻していくには今この時が最速のポイントだと思う。過去と比べて今大きなマイナスがあると考えるのであれば、今をプラマイ0だと設定し直してしまおう。過去に大きなマイナスの経験を積んだ分、次に起きるマイナスは必ずもっとマシになるだろうし、プラスへ進んでいく可能性も大いにあるのではないだろうか。しっかりと自分が成長しているのならば、それはマイナスではなくプラスだと言える。資産の大小や、周りにどう思われるかなんて事は、小さな問題なのである。ゲームだって強くなるまでには最低でも何千回と負けるのが当たり前だったし、絶対に負けたくない試合でボロ負けして、悔しい思いをした事も数え切れないほどあった。

 

1.自分の信念・手法を定義する

 以前に山籠もり開始の記事で書いたが、自分の信念(信じる事ができる考え方や手法)を見つけるにはかなり時間がかかる。でもこれができなければ手法は永遠に決まらず、パフォも安定しない。特定の指標を信じ続ける事ができる人は、それを使用した手法を磨けば成績は改善していくと思うが、自分は今までどんな指標・手法を使っていても、それらを完全に信じる事ができなかったため上手くいかなかった。しかし、何をやっても負け続けていた時の自分のやり方だけは反面教師として信じる事ができるという事に気が付き、手法なんて気にせず過去に行った取引を改善する事だけに集中するというアプローチに方向転換してみると、少しは希望が見えてきた。つまり、過去の自分よりも良い取引をするという事が自分の信念・手法なのだと言える。このように、人によっては考え方次第で自分の信念を見つけるまでに年単位で手法の沼にハマる事がある。手法の定義については、裁量トレーダーの場合は第三者に分かるように定義するのは困難だが、文章に表す事ができなくても良いので、少なくとも自分の頭の中で完璧に定義する事ができたと自信を持って言い切れるような感覚を得るまでは深く考え続け、株価に何があっても自分の行動が決まっている状態にする。これにより、トレード機会が無いからといって焦りで無理に仕掛けるという事もなくなる。

 

2.第三者の意見を悪い意味で気にしない

 勉強は欠かせないが、第三者の意見で自分が揺らいで振り回されてしまうような事があってはいけない。どんな情報も、自分の頭で深く納得できるまで考える。第三者の意見を聞く時は、しっかり自分なりに咀嚼して理解・吸収できるようになるまでは、あくまで第三者の意見として捉える。そして、恐らく誰がどう考えても正しいような事であるのに、自分には合わないといった事も沢山ある。しかし、決して頑固で嫌な人になってはいけない。どんな考え方も理解した上で自分はどれを選ぶのかを考え、あえて一つの考え方を育てているのだという事を忘れないようにする。そこからは、正しいか正しくないかではなく信念の領域になる。

 

3.たった数回のミスがパフォーマンスに大きな影響を及ぼす

 今回だけ・・少しだけ・・・という心の緩みからくる取引は、たった数回でプラスの成績をマイナスにする事ができる。これから以下に挙げていく事項の中で、禁止事項のような意味合いのものは一度たりとも破る事がないようにする。自分はまだまだプロでも何でもない弱者の一員だが、プロになったつもりで、文字通り一度たりともルールを破らないようにする。

 

4.感情でトレードしない

 自分が感情でトレードしている時、それをリアルタイムで自覚する事は決してできないと仮定する。どんなに自分は感情で動いていないと確信していたとしても、後から考えてみれば明らかに感情的だったという事は、自分が思っている以上に沢山ある。自分が感情的になっている時の行動一覧&その対処を冷静な時に作ったりして、常にそれを意識していれば気付く事ができる。慣れてくれば、自分が感情で動く度に頭の中にそのリストが浮かんできて冷静に自問する事ができる。リストがなくても「今の自分の行動の動機は何だ?」「感情で動いてないか?」と日常的に自問していると、今まで当然のように根拠があると思っていた行動が、実は感情が原因だったと気付く事が何度もある。無駄に何度も評価損益を確認してしまっているのを自覚する→その代わりにチャートを眺める事に時間を使う、というように、意味のない事を考える度にそれを自覚して反射的に違う考え方へとシフトする練習を続ける。すると、その速度が少しずつ上がっていき、気が付けばある瞬間から逆に後者が自分自身のデフォルトの思考へと変わっている。最初は意識的に行動を変えていたとしても、人間はいつか心の底から変わる事が可能である。

 

5.1トレードのリスクは全資産に対して2%以内

 有名な2%ルールだが、仕掛けた時点で最大の2%に設定している人は多いと思う。自分がそうだった訳だが、2%ルールだからと言って、毎回のトレードで2%いっぱいにリスクを取って良いという訳ではない。稀にある大きなギャップも事故と捉えず、ギャップが起きたとしても2%を超える事がないよう、仕掛けの際のリスクは0.5%~1.5%に設定したりする。精神的に安定するパーセンテージは人それぞれだが、2%を超えると恐らく殆どの人は冷静にトレードができなくなるのではないかと思う。あくまで”最大でも2%”というルール。大きなロットで取引する事は8項のナンピンにも通ずるが、最速で破滅する事ができる方法である。

 

6.損切りの逆指値はかなり余裕を持って置き、その後も基本的に狭くしない。

 余裕を持って損切りの逆指値を置く事は難しくない。取引履歴から失敗を振り返れば、適切な損切りラインも分かる。しかし、仕掛けた後に恐怖で手仕舞ったり、損切りラインを狭くしてしまう事は沢山あるのではないだろうか。仕掛けた後も、最初に決めた損切りラインは基本的に狭くする方向にも動かさない。損切りラインを狭くするという事は、一見状況に合わせてリスクを管理しているように思えるが、自分が取ったはずのリスクを実はしっかりと受け入れる事ができていなかったと捉える事もできる。リスクを受け入れなければリターンも得られない。逆に最初の損切りラインで切られてこそ、そこで初めてリスクを受け入れられている事が証明される。完全な禁止事項ではないし状況にもよるが、自分の取引ではこれで利益を取り逃がした事がかなり多かったので、損切りラインを狭くするという事は滅多にやらないようにしている。14項のように株価以外の仕掛けの根拠が崩れた状況の時や、15項は損切りと言うよりも利食いに近い行動になるため例外。

 

7.損切りラインを緩めない

 最初に決めた損切りラインは緩めてはならない。自分が成長して考え方が変わったとしても、直すのは次回のトレードから。

 

8.ナンピンをしない

 どんな状況でも、絶対にやってはならない。含み損がある時は、決してナンピンをして普段許容している以上のリスクを取ってはならない。最速で破滅する事ができるダントツで信頼性の高い方法がナンピンである。破滅したいという時は、外を歩いて道端の誰かに寄付するか、思いを寄せるあの子に貢いで玉砕しよう。ナンピンの代わりにできる事は沢山ある。ナンピンはしてはならない。

 

9.長期トレンドに従う

 短期の取引でも長期のトレンドに従い、余裕を持って損切りラインを設定していれば、損切り貧乏になる事はない。初めはこの重要性が分からず、短期の取引だからと直近のトレンドに従っていたが、損切り貧乏になる原因を探す過程でとても重要な事なのだと分かった。

 

10.レンジ相場には手を出さない

 レンジ相場メインで利益を上げようとしない。一時的に利益が上がる事はあるし逆張りが決まると気分は良いが、長期で見たらほぼランダムだったり、反転を予想して仕掛けるためリスクリワード比率が悪く、手を出す理由があまりない。仕掛ける機会が無く退屈だったとしてもレンジには手を出さず、トレンドを探す事に時間を使っていくのが効率的。勝率は高いので16項のリスクヘッジとしてレンジ相場を利用するのはあり。

 

11.押し目買い・戻り売りは、しても良い

 押し目を待つな、戻りを待つな、という言葉をよく聞くが、待つとリスクリワード比率が改善するのは確か。押し・戻りでの仕掛けは悪だという情報が溢れているからなのか、自分の場合は素直に仕掛けると振り落とされる事が多かった。短期の取引では初動で仕掛けて逆行した瞬間に損切りという形でも良いかもしれないが、自分の場合は長く利益を伸ばしたいため、どうしても押し・戻り・ダマシを乗り越えて保有する必要があり、仕掛けた場所が適切な損切りラインまで遠くなってしまうというのが精神的にいけないのかもしれない。このように一般的に悪とされる行動も、人それぞれの手法や状況によって変わってくるため、あまり鵜呑みにして禁止行為にしてしまうと勿体無いという場合もある。

 

12.大衆が振り落とされた時の仕掛けは、勝率・リスクリワード比率が高い

 分かりやすい値動きで初心者の大衆が安直に仕掛けたと仮定して、その人達が置いている損切りの逆指値をヒットした後に再びトレンド再開する動きを狙うと、不思議とリスクリワード比率が良くなり大きく勝てる場合が多い。そして、安直な大衆という言葉は決して他人を悪く言っている訳ではなく、他でもない負け続けている時の自分の事を指している。過去の自分の失敗をリアルに想像し、逆に利用する。アノマリー。

 

13.増玉をする

 増玉はめちゃくちゃ怖い。増玉をした後に株価が逆行し、せっかくの含み益がプラマイ0に終わったり、それによって以前に行った損切りのマイナスだけが成績に残ってしまう事を考えると怖い。増玉という行動で手法の期待値が変わってしまいそうで、頭がこんがらがって怖い。難しそうなのでシンプルな売り買いだけをやっていたい。しかし、トレンドに従っている限りは手仕舞いになる事は滅多にないし、過去の取引を観察していると、利益が出ている時に増玉を行っていればパフォーマンスが大きく変わっていた事が分かる。含み益が一時的になくなっても良いので、含み益を増玉分のリスクとして使い、リスクは最大でも2%を超える事が無いよう安全に増玉をしていく。例えば100株のポジションに安全に100株増玉すれば、リスクは変わらないのに利益は2倍の速度で増えていく。ナンピンをするのと同じように、「これ以上は利益増えないでくれ~お願いだ~」と思いながら増玉をして、「含み益多すぎィ!もう冷静になれない!」となったら手仕舞いを考えるか、「流石にこれ以上は増えないだろ~」と思いながら更に増玉する事を考える。増玉とは、まさに逆ナンピンの魔法である。

 

14.高値・安値更新に失敗したら、次のトレンド再開と思われる動きの中で手仕舞う

 損切りラインに達しなくても、高値・安値の更新に失敗した時には次のトレンド再開だと希望が持てる動きの中で手仕舞うと結果的にあまり損をせずに早めに逃げられる事が多い。損切りラインに達しているのに手仕舞いしないというのは禁止事項の一つだが、損切りラインに達していない限りは基本的に株価は波なので、高値・安値更新に失敗した後に思惑通りの動きを再開する時が来る。そこで無理に希望を持たずに手仕舞う。再び高値・安値を更新したら以降の押し・戻りで何度でも仕掛ける。逆指値はそのままに利益を狙うのが良い場合もあるので、チャートを見た時の感覚による所が大きい。これは自分の手法が高値と安値に注目しているからそれがそのまま手仕舞いの理由になるという意味なので、つまりは仕掛けの根拠が崩れたら損切りラインに達する前でも素直に手仕舞うと良い場合もあるという事である。株価は基本的に波で動くと思っているので、このように高値と安値に注目する手法になったというのもある。

 

15.含み益が大きくなったら、損益0に手仕舞いの逆指値を移動する

 ”大きく”というのは感覚なので説明が難しいが、含み益が最初に取ったリスクの2~3倍以上に達した時には、必ず損益0に手仕舞いの逆指値を移動する。損益0で終わると残念だが、マイナスになるよりもずっと良い。長期的に考えたらこの積み重ねで損が大幅に減るという事が、過去の取引を見ていると分かった。あまりに早く逆指値を移動するのは良くないが、一度利益方向に株価が大きく動いたら0カット、という事を意識する。

 

16.相関のある市場で同じ方向のポジションを大きく持たない

 2%ルールを守っていても、相関のある市場で同じ方向のポジションを2つ持っていればそれは4%のリスクとなる。景気が悪い時は全体的に株価が下がるし、完全に相関のない市場というのは難しいが、あまりにも買いのみが多くなってしまっている時などは、レンジ相場を見つけて逆張りで空売りポジションを意識的に持つなどする(逆も然り)と、ドローダウンが大幅に低下して精神的にも良い。ドローダウンが減る分リターンも減りそうだが、上昇トレンド・下落トレンド・レンジを捉える3つの単純な手法を組み合わせると何故かリターンが増えるという統計もあったりするので、現時点では精神衛生の観点からもこの説を信じる事にしている。

 

 

今のところ書けるのはこのくらいだが、これらの事項に気が付いたからといって、うまくいくかどうかは誰にも分からない。

自分がこれから安定してプラスのパフォーマンスを上げられるなどと言い切る事も決してできないが、これらの信念が無くなる事はこれから先も無いだろうという確信だけはある。

 

 

ー2023年5月28日(日)ー